「おい、見たか?昨日村に来た…」

「厄除け師のべっぴんさんだべ?
 男たちの間じゃ昨日からずっとその話でもちきりだぁ!」


「厄除け師だかなんだか知らないけど…
 あんなぴっちぴちで透け透けの布っきれだけ体に張り付けて…
 見ているだけでも股ぁ硬くおっ勃っちまってたまんねぇよ!」


「透き通るようなきめ細か〜い肌でなぁ…それに
 あ、あんなおっぱいが奇麗で大きい女は街の遊郭でも見たことねぇだ!」


「さすがにもののけ祓いってだけあるなぁ…この世のものとは思えねえ上玉だ。
 庄屋さまんとこで見た京人形みたいな顔してよぉ…」


「いやはや一生に一度でいいから
 ああいうおなごと一晩よろしくお願いしたいもんだぁなぁ…」




村の衆への聞き込みにより、
今回多喜が訪れた村に巣食っているのは
妖魔の類の中でも
その土地に寄生する性質の妖(あやかし)
「水妖」の一種であるらしいことが分かった。
村はずれの山中に
今ではすっかり寂れた石碑があり、
村人たちの間で「ミズガミさま」と呼ばれている
それが元凶らしい。
おそらく大昔に封魔師によって
その石碑に封じ込められた妖なのであろう。

山中から川へと至る清流を介して、
水妖はその水を飲んだ人間たちの中に宿り
その生命力を少しだけ頂戴することでその力を保つ。
そして人間が子を産み増えるのに従って寄生先を増やし
やがてはこの地の「土地神」として支配力を得ようと企むのだ。
この村の者たちは自分たちの平均寿命のことなど
気付くよしも無いことであったが、
村を構成するのは若年・壮年の男女ばかりで
長寿する者が少ないということも
実は水妖の寄生に起因するものであった。

猛怒託妖をはじめとする屈強の妖魔の数々を
愛刀烈鬼丸・滅鬼丸によって征伐してきた多喜にとって
今回の相手は所詮力の弱い低級妖魔の類に過ぎず、
次の日に山中を訪れこの妖を完全に滅するのは容易なことであった。

ただ、この類の寄生妖魔は根を断っただけでは終らないのが
少々やっかいなのである。



「え、え、
 えらいこっちゃあ〜〜〜〜〜〜!!
 男どもみんな聞いてくれ!!
 厄除け師の姉さんが、あの姉さんが…」


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